2009年前期を反省して

こんばんは。六月も明日で終わりになります。一年も半分が過ぎました。今年は昨年から続いている仕事、乾山陶器がようやく形になりつつあります。一歩ずつですが振り返ると確実に進んでいることを感じます。先週土曜日に乾山写し芙蓉紋鉢の型が出来ました。「轆轤型打ち」という特殊な技法を使う作品です。型を使った作品を多く作って来ましたが、今回初めて轆轤型打ちをします。型は土で丁寧に作り仕上げされています。今回は前半私が作っていましたが、急ぎの仕事が入ったので、すたっふMさんにバトンンタッチしました。彼女は大学で工業デザインを勉強していたので、このように写真から形を起こす事を得意としています。スパーリアリズムの絵画や彫刻をさせると面白いもかもしれません。

この型は複雑な形をしていて、また土も多く使っているので乾かすのにじっくり時間をかけていきたいと思います。すっかり乾いたつもりでも土は中心に多少水を含んでいるものです。あせって表面だけ乾かしてしまうと、中心にある水は外に抜けず、ずうっと乾ききらないでいます。それを知らずに素焼きをすると、中心に残った水が膨張し爆発してしまいます。型は木端微塵に跡形もない状態になることもあります。この梅雨の時期雨が降るといつまでも乾かない状態が続きます。あせらず乾燥して参ります。

呉須絵格子紋湯呑の削りを始めました。呉須の流れることを止めようと考えています。釉薬の調合を替え、長石の量を多くしようと思います。また硅石(けいせき)分も入れてみたいのですが、これらの分量が多くなれば今までの釉薬の様に透明感や細かな貫入(かんにゅう)が消える可能性があります。そのさじ加減が難しいのですが、呉須の流れを止めるには仕方がないと思っています。

速やかにテスト窯を焚くことが今の一番の仕事です。

夕焼けに染まって

轆轤 切立湯呑こんばんは。梅雨の晴れ間、夕焼けに染まった空にジェット機が鮮やかな竜雲を描いていきました。海が近いせいで夕焼けが中間色で柔らかな光を放ちます。各地で夕焼けの美しいところが多く有りますが、ここもなかなかの色合いを醸しだします。作家は自然におおきな影響を受けます。私の作品の多くはここの自然の色合い呈しています。見えるものはすべて自分の中に有ります。感動するものはすべて自分の中にあるものです。作家はその内と外にある感動を表現します。いつか見た光景が作品に投影されていることを自身発見することはよくあることです。今日もいい夕焼けを見ることが出来ました。懐かしい故郷の夕焼けです。

工房は昨日窯から出た格子紋湯のみをもう一度作り始めました。呉須が流れることはどこかで承知していたのですが、この仕事で釉薬を今一度点検し、新しい釉薬を作ることから始めらいと思いす。今後呉須と鉄絵の仕事を増やしていこうと思います。今までの釉薬の理解ではどうしてもこの呉須の流れがとまらないので、新しく釉薬を作ってみます。少々の温度の変化にも耐えてくれるよう、また通常の釉薬と遜色ないよう、心を砕いています。
今日は轆轤で湯呑を16個作りました。

夕焼けに染まって

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百合形鉢 焼き上がり

こんばんは。夏至から三日、今日は一番日暮れが遅い時期ではないでしょうか?こんな山に囲まれたところでも、7時や8時とは思えないくらい光が残っていました。夢中で仕事をしていると気が付けばすでに8時、と思いました。今日が最長の夕方と感じました。色々な意味で6月は楽しみ多い季節ですね。日本は雨の多い国ですが、その中でも雨期と位置づけられる季節はこの時期だけです。世界でも特殊な気候だと思います。故私たちが経験することは水の文化そのものだと思います。そんな思いでこの季節を色々な角度から楽しんでいます。

昨夜サボテンの花が咲きました。月下美人ではないのですが、この時期になるとそれも夜咲きます。何とも亜熱帯を感じて、いよいよ心が妖しい開放感になってきます。

窯出し21年6月24日 工房は昨日焼き上げた窯を開けました。よく焼けたまずまずの内容なのでしょう。いろいろ考えていかなければならない作品も有りましたが、内容は素直な窯でした。

ブログから注文された「百合型鉢」はすっきり焼くことが出来ました。格子紋湯呑に関してはこれからのテーマです。呉須が流れることをどのようにして止めるか、失敗を繰り返しながらこれから考えて参ります。

今年になって土が若干変わっています。この事は今まで良しとしてきた感覚に微妙な変化が有って、それに十分対応が出来ていません。
思考の軸を一本増やし世界を広げることに致しました。


京焼 仁清百合形鉢

窯準備2009,6,22

こんばんは。大分湿って来ましたね。今週は梅雨らしい天気になるようで、各地に大雨注意報が頻繁に出てきます。この山間は湿気がひどく、じとうぉっと床下から水分が噴き出てきそうな感じです。南風が吹くと玄関の土間はしっかり湿ってきます。四季のなかで一番過ごしにくい季節でしょう。

台所に蟻の行列がいくつも出来ています。うかうかと食べ物を出しておくと、気がつけばすっかり蟻の餌食になっています。徹底して片付けをするようになりました。

窯準備2009.6.22仕事場は先週からMさんが来て絵付けしている格子紋湯呑、千鳥紋薬味入れ、そして百合型鉢を焼く準備に入りました。釉薬掛け、その後の始末仕事に追われていました。

午後8時、窯詰めも無事終え火を付けて12時まであぶり焚きします。その後朝までそのままし、今回は火曜教室もあるので早めに温度を上げることにします。朝、早起きして温度を上げていきたいと思います。

古清水から始めた京焼も今年で4年、先週の幔幕紋深向付けが一つの区切りとなります。これから乾山陶器に入っていきます。かなり文学的な陶器です。当時の文化の理解が大いに必要になってくることでしょう。

ヒーリング・パワー

こんばんは。今日は夏至です。今年もこれから後半に入っていきます。12月クリスマス冬至まで後6か月は、この国にとっても大きな転換期になってくるでしょう。秋までには必ず選挙が行われ国の形が大きく変わりそうな予感がします。世界の流れが大きく変わっているのですから当然と言えば当然なのでしょう。人類の意識転換が始まっています。力の時代が終焉を迎えているように、新しい意識の台頭が現れてきています。

「ヒーリングパワー」こんなキーワードがしきりに心に響いています。時代は益々過酷さを増していく様に思います。この力が人々を救っていく様に思います。これはなにも特殊な力だとは思いません。誰にでも宿っている力だと思います。気づくことで発揮されるパワーだと思います。

仕事場で瞑想の時間を作っています。ただ轆轤の前に座るだけですが、深く呼吸を整え胸に意識を集中し、力を抜いていきます。何も特殊な技法を用いて目的を持ってしている訳ではありません。しかしかなり気分がいいので癖になり、気づけば歩いている時もどこでもまたどんな時にでも目を閉じ深呼吸して意識を胸に集中するようになりました。

お手当てといいますが、人の手にはかなりのヒーリングパワーが出ています。ヒーラーと謂われる人たちがいますが、何も特殊な力を持っている特別な人ではないと思います。ただ自分の力に気づけばいいだけだと思います。その力を他の人や他の生命に伝えてみることで、より力が増していく様に思います。

これからの芸術はこのパワーの表現だと思うこの頃です。

ヒーリング・パワー

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合格

こんばんは。梅雨入りからこんなにまとまって雨が降らないとこれからの水不足が心配になってきます。来週から雨が降るって聞きましたが、どうでしょうか?また今年もとびきりの猛暑がありそうです。太陽の光が昔と変わったように思います。肌に切り込むように痛さを感じるのですが。皆さんはどう思いますか?紫外線がかなりきついですよねぇ。目が痛くなります。

フォトンベルトという事を聞きました。一万年に一度銀河にあるこの地帯に地球が入ると大きな変動が起こるということらしいですが。そのようなことが頷けるような気もします。何もかも温暖化に結論されるのも、誰かの意図のように思うのですが、確かに時代も地球規模、宇宙規模で大きな変動期に入った様に思えます。

そのような思いの中でも、工房はいつもの様に仕事を進めています。ようびさんに送った「幔幕紋深向付」が気に入ってくださったようで、早速お付き合いのある料理屋さんに持っていかれたそうです。かなり難しい仕事です。作り手もあの手この手できわどい所まで追いつめた仕事ですが、この様な感覚を理解しまた使いこなすとなるとよほどの感性の持ち主でないと出来ないと思います。高いレベルで作り手使い手が一つになるということは、お客さんにとって最高の贅沢と思うのです。また受ける側(お客さん)もこのところを理解できるとなれば文化の高みを感じるのですが。そのような場面を夢見て今回は力を注ぎました。いずれそのような場面に出会えることを期待しています。

六月も後半に入ってくると、公民館の陶芸クラブも秋の公民館祭、市民文化祭に向けて徐々に力が入ってきます。スタートの早い方々は一つまた一つと作品を作っています。これからもまた暗黙の競争が始まり、かなりヒートアップしそうな感じです。

想いを形にすることは私たちも生徒さんも変わりなく尽きない興味がそこにあります。

合格

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乾山写し「色絵牡丹紋向付」の型作成

こんばんは。この時期山間部ではにわかに大雨が降ることが多く有ります。今日も今まで何ともなく晴れていたかと思うと、あっという間に大粒の雨が南風と共にしきりに降り始めました。工房の看板犬ななは、落ち着きなく工房内をうろうろしています。息が激しく鼓動も早く、外に出たがったり机の下にはいったり。どこかで雷が鳴っているのでしょう。私たちには感知できませんが、犬は早い時期から反応しているのでしょう。そうこうしているとこの大雨でした。高野山あたりで雷がなっていたのでしょうか。

日本の梅雨の雨粒の大きさは世界一だという話を聞きました。この話に頷けるような大きな雨粒でした。

工房はすたっふMさんも来て忙しく仕事を進めています。Mさんは千鳥紋が描き終わったのでしょう、格子紋湯呑の下書きに移っています。私は昨日の続きで、乾山写し「色絵牡丹紋向付」の型を作っています。牡丹と云いますがどこか芙蓉にも見立てることもできるので、この時期にもまた使えると思い作っています。琳派の画題に多く使われるひとつでもありますが、立葵や夕顔、芙蓉、また牡丹といった、似たような花が多く有ります。私はこの一連の花に、「彼岸と此岸の境」と云う感覚を覚えるのですが。

日本陶磁史にこの様な感覚で食器を作った陶工は乾山以外誰もいません。このデザインの卓越さは文学を深く理解し、多くの教養を身につけて初めて出来ることのように思います。
徳川の体制も落ち着き平和な時代、元禄期に色々な町人芸術が起こりました。その中でも得意な存在として「乾山」は位置付けられるでしょう。絵画が陶器になったと思うような作品は、今までの陶芸から言うと使用に耐えるのか?と思えるのですが、それ以上に芸術に昇華させたことは否めない事のように思います。
今回はこの鉢を写しながら多くの事を考えてみたいと思います。

百合型鉢の削り仕上げ

京焼 慢幕文筒向こんばんは。今日も清々しいいいお天気でした。夏至は今年21日ということで、今は夕方がこの山間の村でも長く、夕日がとてもきれいです。午後7時といっても陽が少し残っていて、さわやかな風が工房を通り抜けていきます。

工房の忙しさはどんどん増して来ました。今日は昨日焚き上げた耐火煉瓦窯を出しました。幔幕紋深向こうです。色々な施行の一つの結果です。その中から10個を選んで工芸店様に送りました。かなり本歌に近くなったと思いますが、この時代にどの様なシュチュエーショん使われるかで、微妙な好みが変わってくるように思います。まずはようびの意見を聞きたいと思います。

すたっふMさんは、このしばらくは工房に通ってきます。呉須の絵付けが続きます。今日は薬味入れの千鳥紋を描きました。それから格子紋の湯呑、そしてまた幔幕紋と続きます。

百合型鉢は削り終えています。昨日窯焚きと同時に削り仕上げをしました。一つの削り仕上げをするのに、約1時間は掛かります。昨日は夜9時近くまで仕事をしまいました。これも空梅雨のおかげでしょうか。身体に湿気がなく快調に仕事を進めることができます。乾きの順調に進み、窯の準備がすぐにできます。

この季節はもう秋の器見本作りに入ります。今年は乾山がテーマなので早速新しい作品の型を作り始めました。

京焼 仁清百合型鉢

仁清百合型鉢

こんばんは。梅雨入りになって、今は小康状態なんでしょうか。こんな梅雨は後半に大雨になって、またどこかで川の事故があり崖崩れがなど多発するのでしょうか。空梅雨も困りますが集中豪雨も怖いですね。近年局部的な豪雨という特徴的現象が起こっています。何もかも温暖化に結び付けて説明させるもの、何か意図を感じるのですが。

工房は漫幕紋深向こうの窯焚き準備で、すたっふMさんも手伝いにやって来ました。前回の失敗を教訓に、今回は窯を空かしてこの作品だけで焼くことにしました。全部で21個、何とか15個を取りたいと思っています。小さいながら温度差が激しいのでちょうどいい温度帯にだけ置くことにしました。午後7時火が入りました。明日午後1時ころまでに炊き上げる予定です。

窯入れを終え、早速「仁清写し百合型鉢」を作ることにしました。ブログからの客付きとなりました。納めている工芸店は在庫切れということでした。いつ追加されるか未定といわれたらしいです。大変残念という趣旨のコメントが私のブログに付きました。私どもの作品を多く集めておられ、また楽しみに使ってくれているそうです。作り手としては光栄で、何ならこちらで作らせてもらいましょう、という事になりました。季節もちょうど百合の香りが馥郁と漂ってきます。今日はちょうど時間ができたので、百合鉢を作ることにしました。

仁清百合形鉢

仁清百合型鉢

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市松文湯呑

こんばんは。週末はホタル狩りに多くの人がやってきます。昨夜公民館から帰ってくる時も闇の中から突然人が現れてきて危ない目に合いました。開放的になっているのでしょうが、少しのマナーも必要だと思います。網を持ってきてホタルを取っている人もいますが、どうでしょうか?昔ほどたくさんいないので、保護した方がいいと思うのですが。自分中心の世の中、無くなってからでは遅いのですが。このあたりの公衆道徳がこのくらいなのでしょう。自然の摂理と対照的なように感じます。

工房前の川にもホタルが飛ぶのですが、このスポットはなかなかレアな所であまり人も来ません。川の音、蛙の鳴く声が闇に充満して、霧の中にぽうっと光が点滅しています。

西洋と日本ではホタルの見方が違うと聞きました。西洋は光が灯る世界を見、日本人は消え入る光を見ると聞きました。私はこの時期の闇を堪能しています。日本人から闇の世界が消えて久しくなりました。都会の闇はうすら寒く恐怖を覚えますが、田舎の闇は匂い立つ生命の一体感を覚えます。田植えも終わり亜熱帯の様相が益々濃く、しきりにアジアを感じます。

今年は笹百合の不作年で、いつもの目ぼしいところにも全然見ることが出来ませんでした。こんなに不作は近年珍しいです。昨年は30本ほど家に活けてあったように思うのですが、寂しい限りです。少し山深いところまで足を延ばして探しに行こうと思うのですが。

工房は京焼格子紋深向こうを作っています。今日は削りを終え40個を完成することができました。単純で品格があって古来より親しまれてきた紋様です。この紋様で思い出すのは桂離宮のふすま絵です。綺羅で彩られた品格の高い文様が印象深く記憶に残っています。雅紋様の代表的な一つだと思います。この深向こうを御湯呑として使ってもらうという企画です。呉須の色合いを少し鮮やかにして、今に使える器に致しました。オシャレな感覚で使ってもらえたらと思い作りました。

市松文湯呑

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格子紋深向こうの水挽き

こんばんは。東北北部を除いて日本列島は梅雨入りに入ったそうです。今朝からここも雨模様です。山あいの梅雨は時にはストーブを持ち出すくらい肌寒く、なかなか身体の調子を維持するのに苦労する時期になります。台所では蟻の行列が出来ていました。大雨が近づくと巣の移動が始まるのでしょうか?家の中を横断する光景が見えます。

この季節の楽しみの一つは、何と言ってもホタルでしょう。まだ出てきてはいませんが、この時分は遠いところからでも多くの人がホタル狩りにやってきます。ここのホタルは源氏も平家もいて混合型の分布として興味があるようです。また姫ホタルもいて、お盆過ぎまで楽しむことができます。娘が幼稚園に勤めているので園児に見せてあげたいということなので、今年は少しホタルを捕まえてみようと思っていますが。

工房は幔幕の深向こうも終え、格子紋深向こうの水挽きに移りました。午後からの開始でしたが2時過ぎに来客があり、今日も集中した時間が確保できませんでした。細切れの時間の中、同じ調子で轆轤をすることは難しいことですが、そうはいってられません。明日はしっかり進めていきたいと思っています。

今の工房は仕事に集中することを一番に心がけています。案外人がやって来るので、うまくこなしていきたいと考えています。注文も多く頂いているので、展開を急いでいるところです。先月は幔幕の深向こうで躓いてしまったものですから、何とか成功に持っていきたいと思っています。

心の切り替えと集中に焦点を絞って明日からまた張り切って参りましょう。

格子紋深向こうの水挽き

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幔幕紋深向こうの仕上げ

こんばんは。今日から梅雨入りのところも出てきました。6月も10日になると田植がいっせいに始まります。今日も多くの田んぼで苗の準備をしていました。つばくろが低空飛行ですり抜けて行きます。山は緑が濃くなり山百合の香りが漂っています。夜はホタルが間もなく飛び交うでしょう。何とも生のなまめかしさが漂う季節になって来ました。

工房は相変わらず忙しさにかまけています先週から持ち越しの、幔幕紋深向こうの仕上げをしています。今日で終わる予定ですが、午後から「火曜教室」が入っているので何としても仕上げるつもりです。

昨日からすたっふMさんが幔幕紋の下絵描きにやってきています。今日も午後から来て下絵のあたりを描いていましたが、教室とかぶって、またHPの注文の発注に追われてなかなか思うように進みませんでした。集中して仕事をする時間の確保は難しいものです。

焼き物を生業として34年になりますが、この世界にはビックキーワードが二つあるように思います。一つは「待つ」、もう一つは「受け入れる」。かなり受動的な言葉ですが、この意味は深いと思います。創造というとどうしても能動的な態度を強調されますが、いたって陶芸は受け身で、窯という特殊な世界を通じて初めて作り上げることができるものです。今までやってきたすべてを窯に預け切り、炎の力で違う次元に昇華させていきます。作者がどこまで意図した世界が実現しているのか、イメージのかい離をどこまで許容できるのか、作ったもの、出来上がったもの、生まれ出たもの。ただただ神秘に帰趨させるのは作者の逃避だと若い時は思っていましたが、今はもう少し違った世界に生きているように思うのです。

陶芸は尽きぬ夢を追い懸ける世界の様に思います。この年になってなお青年のように。

幔幕紋深向こうの仕上げ

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京焼 薬味入れ

こんばんは。清々しい初夏の気候を今日は満喫致しました。日差しが眩しく目に飛び込んできて、いよいよ夏が来た思いが、パッと心身のドアを開いたように感じています。そこはかと活力が漲ってきたようで、うれしく思っています。

午後工房に帰ってくると、ようびから留守電が入っていました。至急とのこと、何事かな?駄目だしなのか、注文なのか、さてはまたまた難儀なお話なのか?

早速電話を掛けてみると、納めた「桜紋かわらけ盃」の再注文でした。何かのお返しとお聞きしていましたが、お客さんが喜んでくださったのでしょうか。それとも数が足らなくなったのか?後者でしょう。あわてて5枚あるかと聞いてきたのです。普通このような注文は再度5,6個の追加注文があるものです。計算していた人数より多く来られたのでしょう。もちろん数は多く作るようにしているので、快諾致しました。すんなり仕事を進めることが出来ました。

仕事は薬味入れを作っています。昨年作ったものでなかなか好評を頂いているようです。色々なブログにこの薬味入れの事が書かれていて、使い手の気持が伝わって、作り手とのギャップを感じて面白く読ませて頂きました。

今日は蓋を削り、身と合わせています。細かな仕事ですが面白いものです。明日には完成させたいのですが、どこまで出来ますか。がんばりましょう。

京焼 薬味入れ

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一つのいのち

こんばんは。山の緑が日に日濃くなってきました。山帽子の白さが際立ち始め、梅雨も近づいてきたようです。昨日妻が早くもササユリを採って来て、こんな小さな蕾でも咲くのかと思うほどですが、早速花瓶に活けていました。三センチ足らずの蕾が咲くには、三週間くらいかかるかも知れません。楽しみです。

六月の楽しみは咲く花がいい香りに満ちていることです。今日もそんな話をしていると、それは昆虫を呼ぶためでしょう、と言うことのようです。間のなく田植えも始まり、色々な生き物が豊富に出てくる季節です。私はこの季節が最高に好きです。植物、昆虫、小動物、色々な生き物が我が家にやってきますが、何とも共に生きている感覚になって、命が一つになることができます。間のなくホタルも飛び交うでしょう。六月は楽しみの多い季節です。

幔幕の深向こうを再度挑戦しています。前回の窯は陣立てに問題があって、火の引きが悪く、いったん目的の温度近くに達したのですが急に温度が下がり出し、頑張って相当な時間をかけ我慢しながら焼き切ったのですが。還元がかかり、わずかな所で酸化に戻ってしまいました。色々反省するところがあるのですが、いつものことですがどうしても通過しなければならない失敗というものがあるようです。

何とか最短で成功させようと思う意志と裏腹に、失敗にはまっていく形というものがあるようです。抵抗しきれない運命を感じる瞬間です。

一つのいのち

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窯焚き

こんばんは。今週もまた始まりました。昨日に続き初夏を思わす好天気です。日曜日は実家に行って、両親とともに過ごすようにしています。月曜日に戻ってくるととても工房が新鮮に思えます。工房も曜日によって違った顔になるのが面白いです。今日は午後から慢幕紋深向こうの釉薬掛けです。数は20個と少ないのですが、後の処理がなかなか手間入りです。すたっふMさんが手伝ってくれて丁寧な後始末が出来ました。今回も「耐火煉瓦小窯」で焼きます。
土曜日にこの窯を提供してくれた「藤原陶芸店」が来て初窯の作品を見て一言、「奇跡の様な焼けやね。」ですって。これはなかなか説明しにくいところなのですが、本来一発目にこの様な作品を焼くことが実は困難極まりないことなのでしょう。直炎式の窯なのでいくら小さくても、火前が有り、天井、根っこ、火裏がちゃんとあるのです。作品の位置が10センチも違うと焼け具合の違ってしまいます。この窯が昨年の暮れに入って、かれこれ四か月になろうとしても、考えが決まらずなかなか焚くことが出来ませんでした。イメージが出来上がるには相当の試行錯誤が必要でした。どうしても焼かなくては結果が出ないというところまで考えた末、出てきた作品だったので、私たちにとって有意義な結論でした。実はこの結果を導き出すには最低でも何回か焼きこまなくては普通出てこない作品なのです。初窯で出してきた事に、「奇跡」と云ったのでしょう。面白い話です。

この様な事は運命を決める重要な瞬間なのです。焼けるか焼けないかで大きく世界が違ってきます。今の私たちには何回も試行錯誤を積む時間はありません。一回で目の前の世界を開いていかなければなりません。キャリヤが生きるかどうか。やってきた事の積み重ねが生きたものとして実現されてくるのか、勝負どころとしては、大変面白いところです。

今日の慢幕紋深向こうはある意味勝負の掛かった、重要な窯になっています。慎重に窯詰めをし、先ほどから焼き始めました。明日午後二時頃には焼き上がる予定です。

窯焚き

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「かろみ」の展開

こんばんは。ゴールデンウィークも後半になって来ました。好天気が続いているせいでしょうか、また高速道路も格安とあって行楽地は大変な混雑の様子です。といっても私どもはいたって平常で、たまに迷い車が入ってくる程度の静かな時を過ごしています。この連休を利用してか、休耕田になっているところに今年作付けをするのでしょう、遠くに耕運機の音が響いています。

工房は土曜日の続きで、慢幕深向こうの仕上げを終えました。手間のかかる仕上げにもここまで来ると何とか要領を得ることが出来てきました。30個の注文ですが、今回は20個の作りで、焼け具合で10個から15個くらいの納めと思っております。


京焼 慢幕文筒向

この深向こうの特徴は華奢な作りと極上の軽さにあります。深向こうなので持った時の感覚が大変重要になって来ます。また普段使わない器ですのでお箸の使い方がいつもの様な調子でなく、その事の面白みがこの器の特徴にもなっています。はっと驚く軽さがお料理に対する期待感を増してくれるでしょう。

用の美といいますが、この事は何も民芸の専売特許という訳でもありません。日本感覚の器を突き詰めていくと、おのずと行きつく世界がある様に思います。用美(ようび)は暮らしの創造というところに入っていくと考えています。茶の世界も然り。私の作る器は普段使いの器としてあまり適さないかも知れませんが、何もかもを削ぎ落として、唯いのちの鼓動のみが息づいている、そんな器を私は目指しているのです。

「かろみ」の展開

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一歩前進

こんばんは。久しぶりにブログを書いています。季節が変わり工房も大きく変化しようとしています。昨年より積み重ねて来た乾山陶器が本格的に始動出しました。先週ようびに持って行った仕事が一歩扉を開けた様に思います。昨日の窯は色々な思惑とテストも兼ねて焼いてみました。少々不安でしたが一つのコンセプトとしてどうしても通過しておかなければならない「窯」でした。釉薬の薄さもさることながら、温度を今までより10度下げて焼き上げるという事は私の今までにない経験でした。乾山陶器の釉薬の扱いがどうしてもかなり薄いので微妙な感覚が必要とされます。

一歩前進

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食器も変わる

こんばんは。昨日の雨で注文していた筍はまずまずの出来栄えを頂くことが出来ました。今年はもう筍も終わりに近くなってきて、そんなにいいものも出てこないということでした。天候が4月になっても安定していなく、初旬の寒の戻りの様な寒さがあって、一気に夏日の様な、この季節にはなかった陽気が続きました。筍も陽気につられて出尽くしてしまったようで、でも昨日の雨は恵みの雨となり、今日は何とかいいものがとれたということでした。

早速朝掘りの筍をお土産に持って、工芸店様に出かけました。今回のお話は慢幕紋の筒向(つつむこう)を見せることです。私どもが古清水をはじめて4年になりますが、最初からこの筒向を作ることが最大の課題であり、また最終の作品になっていました。乾山の入り口に位置する作品でもあると真木さんは考えていたのでしょう。もう三年も前になるのでしょうか、京都国立博物館で「京焼展」があり、そこにも出展されていました。間近に見ることが出来たのは大変参考になり、その雰囲気がその時掴めたのも大いに為になりました。

一見、鉄と呉須の簡単な絵付けに見え、また造詣も同じく難しいものを感じませんが、実はそれがいちばん難儀な世界です。ごまかしの効かないストレートな轆轤で、古清水が持っている食器としての最高の贅沢である「品格」を作れているかという事に尽きるのです。今日明日で作れるものではない事がやっと分かって来ました。

面白い話に「乾山は京焼と云う事が分かった。」と4年前真木さんが云われた事をこの作品を作ることで私は実証したかったのでしょう。40年も一線で食器一途にやってきた人が、単にこの言葉を出したとは誰も思えません。しかし乾山陶器を本当に作るとなれば、相当の覚悟と度量がいることは間違い有りません。今までいかに乾山がうわべだけでとらえられてきたか、その様な食器が作られてきたか、真木さんはいやというほど経験されてきたのです。

有りがたい事にその事の重要性を知るきっかけを頂き、私たちは古清水の写しをベースに4年、作陶に打ち込ませてもらいました。薫陶という言葉がありますが、知らず知らずのうちに古清水が持つ雅さが私どもの仕事にも写って来てくれたのでしょう。筒向を挽く轆轤が何とも表現しがたい思いの籠ったものになりました。そのことが今日作品を見せて、真木さんに伝わったということはうれしい限りです。

また違った次元の器がこれから作られて行くことでしょう。大きな楽しみになってきました。

古清水慢幕深向付写しのテスト

こんばんは。東の山から今日は満月でしょうか、大きなお月さまが昇って来ました。工房を出る時、タイミングよく「ほっほ、ほっほー」とふくろうが鳴きました。春だなあ、と思わず安ど感がやって来ました。寒さから解放されるほどうれしい事はありません。春眠暁を覚えず。とろとろと惰眠を貪りたいですが、そういうことも言っておれませんね。

今日は昨日焼きあげた耐火煉瓦の窯出しでした。午後からすたっふMさんが来てくれました。思った様な結果が出たので、まずまずの成果だと思います。昨年末から続いています「乾山」陶器の結果がでて、土味がやはり窯を変えることでかなりいい感じで出てきました。この土味なら色々なテーマで乾山を作ることが出来ると確信出来ました。また、古清水慢幕深向こうの写しテストも、鉄絵や呉須の色会いが一回目としては結果が出せたと思います。早速工芸店様に電話を入れました。今日の窯の結果を検証して次の作品へとイメージを作ろうということです。今回の窯の結果から乾山のオランダ写しが私どもでもできそうな感じになって来ました。

以前にも書いてみましたが、窯が変われば同じ土でも、また同じ釉薬でも全く変わって来ます。特に昔の写しをベースにする仕事はどうしても今風の窯では風合いが異なって来ます。そこで土をあの手この手と色々調合してみるのですが、やはりなかなかうまくいきません。どこが違うのかと云えば、それがそう簡単に説明が出来ないところなのです。見比べればなるほどとうなずけるのでしょうが、単独で出されたらよっぽど精通していないと分からないようなものです。そこまで拘らなくてもという思いも正直働くのですが、どうもその辺が不器用に出来ているのでしょうか、私は拘り続けてしまうのです。よく作品作りより実験工房風になっていると笑われています。

今回は一応の結果は出せたのでしょうが、これからまだまだ材料を変え実験は続いていきます。その過程から思わぬ面白い作品が出てくることを私はいつも待ち受けているのですが。色々と繋がっていくと今まで出来なかった事や分からなかった事がするすると謎が解けていくのが面白いのです。新しい地平に立つことが私にとって最高の喜びなのでしょう。

工房の春

こんばんは。今日の天候で桜が満開になったところも多いのではないでしょうか。実家から工房に向けて車を走らせて来ましたが、途中目にするソメイヨシノはほとんど満開状態でした。ああ、季節が過ぎていきますねえ。今週いっぱいで桜吹雪が舞い散るでしょう。寂しい限りです。

工房は先週末素焼きをした乾山陶器や慢幕深向こうなどの釉薬掛けをしました。夜に耐火煉瓦の小さな窯に入れ一日掛け焼いてみるとこにします。年末から準備をして、やっとここまで来ました。結果が楽しみです。

今日は工房付近の春を撮ってみました。

桜

工房の春

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乾山写し 湯呑

こんばんは。今日はあいにく雨模様でお花見は明日に持ち越しのところが多いのではないでしょうか。私どもの仕事は季節の先取りで進めていますが、桜は一月の末より仕事にかかっています。すたっふMさんは今年も桜尽しで、注文の数を納めるのに今月いっぱいかかるようです。ここまで来るといくら好きな桜でも食傷気味のようです。一度納期を忘れてのんびり桜を愛でてみたいものですが。八重桜なら時期もずれてくれるので良いかもしれませんね。造幣局の通り抜けにでも行ってみたいものですがいつのことやら。

工房は京焼葵紋平向付の絵付けの続きです。夕方遅くに葵紋の花弁の釘彫りをし終わりました。 葵紋がこなれてきたので、早速乾山写し絵替わり向付にも取り掛かりました。来週月曜日に慢幕紋などと一緒に窯に入れてみるつもりです。 今日は遅くなりましたが素焼きをし、月曜日の準備にかかります。


 


乾山写し 湯呑絵付け

京焼 「葵文平向付」絵付け

こんばんは。四月に入って寒の戻りという言葉はないでしょうが、昨夜は雹が降ったり、また所によっては雪になったりと大変寒いところが多くあったようです。山の生活はまだまだストーブから離れることができませんが、山桜の色合いは近年にない美しさで感動を覚えます。この寒さでは夜桜に出かける気分にはなりません。

工房は昨日に続き葵紋の絵付けに取り掛かりました。昨日割を入れたところに、鉄と御須で花びらを描いていきます。生素地に直接描いていくので、花ビラの感じが一層出やすくなっています。墨絵を描くように水で薄く伸ばした絵の具を花びらが重なったような感じにふわふわっと描いていきます。花も大小変化を付けて遠近を出していきます。

書き終わった花ビラに釘彫りで花弁を入れていきます。幼い頃画用紙いっぱい色んな色のクレヨンを重ね塗りして、引っ掻きながら絵を描いたことがあるでしょう。その要領と同じ事なのです。どこか稚拙な線が有る方が面白いと思います。

乾山がよくしていた技法の一つですが、ルーツは絵高麗、中国磁州窯に有ります。私がまだ駆け出しのころよく写した窯の一つです。 この技法を使い色々な器に挑戦していこうと思っています。


京焼 芙蓉平向付絵付け

葵紋平向付の生素地に割入れ

こんばんは。今日から四月。年度が変わり社会では新しくスタートを切る季節です。新入社員を迎えて張り切っているところがニュースに流れています。新鮮な気持ちをいつも持ち続けていきたいものです。

工房は昨日素焼きした深向付にすたっふMさんが来て絵付けをしている所です。私は葵紋平向付の生素地に割入れをしています。鉛筆でどこに絵を描くか簡単に印を入れていきます。明日この素地に呉須と鉄絵の具で葵紋を描いていきます。二人で進めていく作業なので、Mさんの絵付け待ちになっています。

今回の深向付は見本のつもりですが思いの他楽しく面白く仕上がって来ました。一つずつの作業を互いに確認しながら呉須の色合い、また鉄絵の具の濃さなど色々と仕込んで行きます。新しい作品を生む作業はどこか不安と期待でわくわくしています。長く時間がかかっていますがようやく一歩前に行くことが出来ることでしょう。

葵紋平向付の生素地に割入れ

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季節を愛でる器作り

こんばんは。彼岸が過ぎて瞬く間に春が来るように思っていたのですが、ここ何日かは寒さのぶり返しで工房はストーブが放せません。桜の開花も停滞しているように思うのですが皆さんのところは如何でしょうか。散歩コースになっている落合橋に大きな山桜の木が一本有って、手に届く位の距離でいつも観察しているのですが、やはり開花が少し止まっているように感じます。春になると川の勢いも増して、川面に反射する光が眼に眩しくなって来ます。桜が風に揺れ光と交差する陰影を私は一人楽しみにしています。

工房は葵紋平向付の削りを終え、慢幕紋深向こう、格子紋深向こう、ビールカップと紅白椿紋箸置きを素焼き窯に入れました。すたっふMさんが工房に来て、深向こうの鉄絵などをする準備です。乾山陶器は生素地に直接絵付けを施すので絵付け後素焼きをします。

葵紋をアレンジしてマグカップを作っています。新しい挑戦なので興味がわきます。色々なイメージをすぐ形に出来るよう仕組みを変えている所です。「季節の器」というテーマをこれから面白く展開していきたいと考えています。器に季節を盛って楽しむというものは日本人ならではの情緒です。私たちの作る器はそのことが出来る数少ない器だと思います。その意味では使って楽しい思いで深い器をこれからも多く提供できると思っています。季節の変わるスピードに負けないよう、イメージを素早く転写できるよう頑張って参ります。


芙蓉マグ

桜に酔う

こんばんは。今日明日で三月も終わり、いよいよ四月に入って行きます。この何日かは寒い日が続き桜も思った以上に開花が遅れてきました。気温の日格差が大きいと桜は開花を促されると聞きました。この辺りでは何といっても山桜が美しく日に日に色濃くなって、美しさ可憐さに心が洗われます。こんな景色を独り占めしてしまっては申し訳ないので、皆さんお近くにお越しの際はぜひこの山桜を見に来てください。

桜は不思議な花です。これほど心に響く花も珍しい、と云って間近で愛でるような花とはまた違うようで、山々に咲く色とりどりの風光が何とも琴線に響いて参ります。さくやこの花の姫が風に舞って山々に降り立った風情は、日本の四季の中でも初々しい優雅な色気をも感じてしまいます。桜の美しさは近寄り難い高貴な世界を漂わせています。

今日の工房は京焼葵紋平向付の削り仕上げの続きです。今日で終了のつもりが雑用が入り、明日に四枚持ち越しとなりました。午前中に終えてしまいます。これで乾山陶器テスト窯の準備に入っていく予定です。

桜に酔う

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葵紋平向付 ろくろびき

こんばんは。巷はWBCで賑わっていましたが、そう云えばプロ野球も開幕間近でした。大相撲は今日朝青竜が負け白鳳の優勝が見えてきました。また甲子園では高校野球が始まっています。大相撲は大阪場所ということもあり、難波付近は何かと華やいだ雰囲気が漂っています。この20日から近鉄阪神の相互乗り入れで難波から神戸に行けるようになりました。益々関西の野球も面白くなってきます。メッツとヤンキーズを結ぶA列車に乗ってというジャズのナンバーが有りますが、日本版A列車になる日を夢見ています。しかし今年のタイガースはいい材料が出てこないまま開幕を迎えます。何とか昨年の二の前ならないよう応援をして行こうと思っています。いよいよ今年も始まったなあ、という思いです。

工房は昨日の続き葵紋平向付を挽き終えました。難しい轆轤でしたがようやくコツを取り戻して挽く事が出来ました。陶芸の秘伝の一つに水加減をどうするかということがあります。轆轤は特に水加減をやかましく云います。これは学校などでは教えない部分なので、弟子入りしてはじめて教わっていく世界です。師匠の轆轤の準備をまかされて土を練るのですが、何を挽くのか皿なのか壺なのか、それとも湯のみなのか、その作品によって水加減が変わります。また、土によっても加減が変わってしまうので、その感覚が身につくのにかなりの時間を要します。轆轤は水加減と練りがピタリと合えば難しい形でもすんなり挽くことが出来ます。心技体といいますが全てが整えば自然と形がなる様に出来ているようです。自然体ともいいシンプルともいいますが、そこまでの環境を作ることに時間を費やしているのだと思います。

日々の研鑚などといいますがそれは準備をして待つということにも通じると思います。陶芸をしているとこの待つという、準備をして待つこの姿勢に陶芸の深みを感じるのですが、如何なものでしょうか。

葵紋平向付 ろくろびき

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