なるみ庵

手から手へ

なるみ庵

お昼から、お客様が出来上がった品物をお引き取りにお越しくださいました。
ご注文主はK社の社長さまですが、今回は秘書の方がお見えになりました。

また次のご注文についてもご相談をいただき、次回は社長さまがお見えになるそうです。器について少しお話をさせていただきました。
「制作の場を訪ねる機会はなかなかありませんので、興味深いです」とのお言葉が印象に残りました。

以前、お納めした器について、社長さまと贈られたお相手とのエピソードもお聞かせいただきました。

大切な方への贈り物に伏原窯の器をお選びいただけたこと、あらためてありがたく感じております。

贈り物

山の藤

なるみ庵

桜が散り、新芽がまぶしい頃、藤の花が大きな木を覆うように咲く場所があります。

あまり知られていませんが、とても美しい景色です。

山の仕事場へ上がってくる途中にある、貝塚山手のいぶきビレッジ(旧たわわ)駐車場の脇です。

2024.4.25 藤

こちらは二年前の写真です。

昨年はもっと範囲を広げて咲きました。

今年は昨年より立派に咲くだろうかと、身内で噂しております。

 

実はここ数年、藤の花は仕事場の裏側から見える山にも、同じように木を覆って咲く姿が、いくつか見られるようなりました。

藤が蔓延るということは、山に手を入れる人が少なくなっていることのあらわれでもあります。

またある時期を過ぎると、藤は花をつけなくなることがあるそうです。これまでも、きれいに咲いていた場所が、なくなってしまったことがありました。

あと数日もすれば、花が開きはじめます。咲き出したら、またご紹介します。

贈りあうもの

昨日のお届けした筍でお料理され、伏原窯の器に盛りつけた写真を送っていただきました。

岸和田の浪切ホールで、真夏に「久遠アートフェア」を開催していました。絵画やガラス、漆器、茶釜、そして陶芸。さまざまな作家や工芸品が並ぶ展示会でした。

コロナ禍の大変な中での開催でしたが、作家さんとご縁をいただき、年一度のお客様とゆっくり言葉を交わす時間は、日頃山で仕事をしている私には新鮮でした。

会期中には何度も足を運んでくださる方、料理人の方、地元の方々。本当に沢山の方にお越しいただき、ありがたい限りでした。

その中に名古屋から新幹線で来場されたMさんがいらっしゃいました。大変な食通の方で、陶主と鮎や水茄子の話で意気投合し、器の話以上に食べものの話で大いに盛り上がりました。

陶主の甥が水茄子を作っており、料理屋さんに卸すほどの品です。それがМさんの大好物とのことで、新幹線で来てくださったその心意気へのお返しに、一度お送りすることになりました。

二年続けてアートフェアに来てくださったのですが、昨年は急遽、浪切ホールでの開催が中止となりました。水茄子をお送りするご案内の際、「もし良かったら山の仕事場へもいらっしゃいませんか」とお声がけしました。

昨年は陶主に癌が見つかり、手術、そして予後治療となかなか厳しい日々を過ごしました。秋口になり、少し落ち着いた頃に、Mさん仕事場を訪ねてくださいました。

お話を伺うと、Mさんもご病気を抱えておられ「今をしっかり楽しむこと」を大切にされているとのこと。とても深いところで通じ合うものを感じました。

ご実家では、柿やりんごを作っておられるそうで、昨年の秋に沢山送っていただきました。どちらも陶主の大好物です。病後の身体に優しい滋養を届けていただきました。

そのお返しに木積の筍を送るお約束をしておりました。

喜んでいただけたご様子、何よりです。

山に霧のかかる日

なるみ庵

夕方には雨が降り出し、遠くの山々に霧がかかり、幻想的な風景に様変わりしました。

 

私が伏原窯に入門した当初、泉佐野の有形文化財・新井邸で年に一度展示会を開いていました。

多くのお客様が来られる中、いつも丁寧にお祝儀を持って来られる紳士、Tさんがいらっしゃいました。

趣味で陶芸をされていて、陶主との話をいつも楽しまれていました。

何年かして、Tさんは「先生のクラブに入れてもらえませんか」とお願いに来られ、公民館の陶芸クラブの会員になられました。

沖縄ご出身の方で、お土産にサーターアンダギーをよく持ってきてくださいました。

Tさんは、霧のかかる山の景色を好まれ、今日のような日には、ひょっこり上がって来られたものです。

ある時、中国の山岳を巡る絶景ツアーに申し込まれたものの、ご高齢のため保険が適応されず、参加出来なかったと残念そうに話されていたのを覚えています。

 

最後まで、陶芸のある一人暮らしを大切にされていました。そんなTさんを私はとても尊敬していました。

亡くなられてから、もう何年も経ちますが、

こんな日は、Tさんがふらりと遊びに来られるような気がします。

霧かかる山

山蕗の一日

なるみ庵

朝一番にO氏から連絡が入り、山蕗を採りに来られました。

私もハサミを持ってお手伝いし、世間話をしながら、十五分ほどで四掴みほどの山蕗が採れました。

しばらくすると陶主が来られ、少し話をして帰られました。

 

昼食後にはお客様が来られ、貝塚市の結婚お祝いチケットを持ってきてぐたさいました。

かいづか結婚お祝いチケット

五、六年ほど参加してたかと思います。陶主と話し合いをして今期から参加を辞めたところでした。

調べてみると、昨年度の期日は今年の五月三十一日までとのこと。山まで上がって来てくださったことにありがたさを感じました。

これまで新婚の方のご縁はありませんでしたが、伏原窯では「飯碗をペアで一つ分の価格でご提供する」という形で参加していました。

今回、十草飯碗の大と小をお求めいただきました。

こうして手に取っていただけると、また再開することも考えなければと思います。

 

お帰りになったあと、再び車の音がしました。

本日二度目のO氏来訪です。

朝の山蕗を下処理して持って来てくださいました。

お料理のできる方で、山蕗の香りを残しつつほどよく整えられていました。

 

夕方からコトコト炊き、キャラブキに。

ありがとうございます。

きゃらぶき

雨山登山と窯出し

なるみ庵

先週は雨山城趾ハイキングコースを歩き、今回は永楽ダムの東側にある2つの展望台まで登ってきました。

雨山第一展望台へ

第一展望台から雨山の方を見ましたが、あまりよく分かりませんでした。景色はこちらの方が広く堺?の方まで見渡せましたが、遠くは霞んでいました。

下山の途中、茶色い小さな松ぼっくりのようなものを拾いました。ハンノキの実だそうです。

あと青もみじも美しく、1枚いただいてきました。

青もみじは種類がとても多く、色や形の違いが興味深く、絵付けをしていることもあって、つい目がいきます。

ハンノキの実と青もみじ

2時前に車に戻り、それから仕事場へ向いました。

窯出しです。

無事に焼けました。十草も落ち着いた焼けてす。交趾笹皿小はまるで型で作ったように変形もなく、見本も良好です。

十草蓋物の梱包に入ります。

釉直しの一日

なるみ庵

 

今日は朝から雨風が強く、春の嵐のようです。

外よりも中のほうが冷え、仕事場ではストーブを二台つけています。

昨日描き上げた十草紋の蓋物に釉薬をかけ、

それを鉋(カンナ)でたまりを取って仕上げていきます。

釉直し

十草紋は釉薬が濃いと線が滲むため、口元に厚くかかった部分をはつっていきます。

地味な作業ですが、とても大切な仕上げです。

陶主は、昼からの陶芸クラブがお休みになったそうです。

二人で釉直しを進め、今日中に窯詰め、火入れまでできそうです。

若竹煮の午後

なるみ庵

 

今日のお昼は、昨日いただいた筍で若竹煮と炊き込みご飯にしました。

筍はとてもやわらかく、春の香りがして、旬を満喫しました。

若竹煮

昼過ぎ、O氏から電話がありました。

「お婆さんがキャラブキを作りたがっているのだけれど、生えている場所を知らないか」とのこと。

「裏山に生えているから、採りにおいで」と陶主。

近日中に来られることになりました。

山蕗

山蕗はキャラブキにするまでに皮を剥く手間があり、なかなか料理までたどり着きません。

そういえば、村のお婆さんが「五月に入ったら採るな」と言っていたのを思い出しました。アクが強くなるからでしょうか。

さて、仕事場ではようやく十草紋蓋物の下絵付を終えました。

今回の窯に入れるため、見本も描きました。

明日は釉直し。

窯詰めまでいけるでしょうか。

波紋飯碗の見本

十草語らう

伏原窯の十草紋は、藍色の線と茶色の線の連続模様です。

器屋さんとのお話のなかで「このような形で細かな線がひかれているのを見ましたの」手で器の形を描くようにして説明されました。

そのイメージを持ち帰り、生まれてきたのが十草紋の飯碗です。

十草紋飯碗

華奢な器に繊細な線を施し、小さな高台がそれを受け止める。

藍色の線は呉須、茶色の線は鉄絵の具。

呉須はやわらかく、鉄は強い性質を持っています。

 

絵付は絵の具の濃淡と強弱で仕上げていきます。線を引いていく間に、先に引いた線とのバランスを図る。

まるで呉須線と鉄線が語り合っているかのようです。

十草紋を描き始めた頃は、絵の具の性質が分からず、鉄絵の具を濃く描きすぎて茶色の色味が強く出たり、間合いが合わず間隔が空きすぎたりと、どこか騒がしく喧嘩のようでした。

長く描いているうちに。穏やかで優しい語り合いになってきたように思います。

 

 

 

十草語らう

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縁巡る春

なるみ庵

 

三味線の先生から

「筍をもらったから取りにおいで」

とお電話が入りました。

出かけようとしたところ、入れ違いでN氏が仕事場へ。

「直ぐ戻ります」と挨拶して車を出しました。

 

先生からは筍とわらびまで

今年の初物です。ありがたくいただきます。

仕事場に戻ると、直ぐにわらびのアク抜き。筍の写真を撮り忘れてしまいました!明日は若竹煮とわらびご飯にしようと思います。

 

N氏は新しく作ったパズルを持ってきてくれました。

今回は楠。ほのかにショウノウの匂いがしました。

色合いも柔らかく優しい雰囲気。猫の置物まで頂きました。とても可愛らしいです。

猫の置物

 

本題は山登りの日程決めでした。

先週の日曜日に登った雨山の話から、次は葛城山の前に、雨山から見えた展望台に登ろうということになりました。

雨山展望台

N氏が以前、乗鞍岳へ登った際に、御嶽山が見え、それがきっかけで御嶽山に登ったそうです。

スケールは違っても、見えた山を目指すのは楽しいもの。

そして身体を慣らす意味でもう一山。

 

変更後の計画は、

1、雨山リベンジ 済4/5

2、雨山展望台 4/12

3、葛城山リハーサル 5/10

4、観音平 6/7

 

雨山展望台が新たに加わりました。

4/12(日)に決定。今回は陶主も登る予定です。

 

今からとても楽しみです。

 

さくら羊羹、春の味

なるみ庵

今日は伏原窯のインスタグラムでお世話になっているデザイナーOさんが来訪されました。

インスタグラムに春夏秋冬の器を載せてもらっています。昨年は春と夏の器を載せてもらいました。今年は秋と冬の器を進めて行く予定です。

Oさんに頂いた羊羹でお抹茶を頂きました。萬松堂のさくら羊羹は羊羹とゼリーの間に桜の塩漬けが入っていて春の味がしました。

萬松堂さくら羊羹

器の種

水曜カレー会

今日のなるみ庵は、お昼からカレー会を開きました。

世界情勢や歴史の話、日本の未来のことなど、話は尽きることなく続きましたが、次のお客さまのご予定があり、「フクロウを作ろう会」をするお約束をしてお帰りになりました。

入れ替わるように料理人さんが来られました。

〇〇さんの先輩は〇〇さん、といった具合に、狭い世界の中で皆さん励まし合いながら切磋琢磨されている様子。気になるお店には実際に足を運び、日々研究を重ねておられるというお話を伺いました。

料理人さんとの時間は、「こんな器にこんな料理をのせたら面白いのでは?」と、次々にイメージが広がっていきます。ひとつお題をいただき、夕方から八時近くまで話は盛り上がりました。

ゆったりとした時間の中から、新しい器が生まれてきます。

今日のなるみ庵 令和8年3月23日

なるみ庵

おひさまが暖かくなり、工房の猫が日向ぼっこをしに外へ出ていくようになりました。

さて今日のなるみ庵のお昼ご飯は、ご近所さんにわけぎを頂いたので”わけぎとヤリイカの酢味噌和え”をつくりました。

 

仕事は青もみじの絵付をしています。この季節の恒例になりました。

絵の具の厚みが焼き上がりの色合いを決めるのですが、1枚のもみじを描いている間にもどんどん絵の具は乾いていきます。

今日も1枚づつもみじを描いていきます。

青もみじ平向絵付

 

 

 

今日のなるみ庵

今日のなるみ庵

R8芍薬の芽

お彼岸にもなると日の光が柔らかくなりますね。暑さ寒さも彼岸までと村のお婆さんがよく言っていました。

昨日、剪定した山茶花の足元に芍薬の芽が出ていました。

これから春になるとシャクナゲ、桜に薔薇、あっという間に春が過ぎていきます。

今仕事場では、夏の青もみじを描いています。芍薬が咲く頃には描き終えているでしょうか。

なるみ庵 山茶花

仕事場の隣に、山茶花(さざんか)の木が二本あります。毎年きれいな花を咲かせてくれるのですが、昨年は剪定の時期が大幅に遅れてしまい、五月も終わり、六月に入ってから鋏を入れました。そのせいか、今季は花付きが少し寂しく感じられました。

私は趣味で三味線を習っているのですが、御師匠は植木屋さんでもあります。剪定の時期を教わっていたのに、昨年は間に合いませんでした。

今年こそはと思い、思い切って今日、剪定しました。

切りすぎてもいけない。

残しすぎてもいけない。

その加減は、どこか器に向き合うときと似ている気がします。来年の花が、今年より少しでも伸びやかに咲いてくれますように。

迷いながらの剪定です。

来年の花を楽しみにしています。

なるみ庵 工房の土曜日

なるみ庵 工房の土曜日
工房の土曜日

貝塚市山手公民館で陶主が陶芸を教え始めて、三十六年になります。
当初から通っておられる生徒さんが、月に二度、土曜日に工房へ来られます。

今日は壺づくりでした。

形を見ながら、陶主が少しだけ手を入れています。土は、ほんのわずかな力で表情を変えます。
三十六年という時間も、きっと同じように、少しずつ形を整えてきたのだと思います。共に歩んできた三十六年が壺にこもっています。

工房には、急がない時間が流れています。

なるみ庵 春のはじまり

工房の朝は、だいたい静かです。

猫は窓辺で丸くなり、湯はゆっくりと沸きます。

土の匂いも、まだ眠たそうです。

そんな朝に、伏原から早咲きの桜の写真が届きました。

河津桜仕事場の近くの早咲きの桜

太極拳の先生が

「桜は毎年きれいと言われていいわね。私は枯れていくばかり」

とおっしゃったそうです。

その話を聞いた陶主は、

「枯れるのではなく、熟すのでしょう」

と言いました。

花を咲かせる人は多いけれど、

実を結ぶ人は少ない。

最近、陶主がよく口にする

「なるみ」という言葉。

こころが暮らしになり、

暮らしがかたちになっていく。

その途中の景色を、

これから少しずつ綴っていこうと思います。

ここは、なるみ庵です。