2010年 5月 の投稿一覧

5月の総括

こんばんは。とうとう五月も過ぎていきました。今月の大きなイベントは先週のクラブ創部20周年の展示会でしょう。総勢30名のクラブ員が初めて展示会を自主的にするとあって、こちらも時間と労力を惜しまず提供しました。いい評価を頂いたのはクラブ員もそうですが私も嬉しい事です。しかし美術、芸術、文化の理解は、単にセンスと云えばそうなんでしょうがなかなか伝達は難しい限りです。地道に色々な経験を積んでもらうしか、伝えようがないと実感して居ります。

気持ちのいい天気が続いています。少し肌寒いのも頭が冴えて云い感じです。月末の週初めもあって道路や銀行はすたっふMさんが云うにはすごく混んでいたそうですが、さすが貝塚、田舎ですね、そんなことは全く関係有りませんでした。難なくに会計仕事を終え工房に戻って来ました。

5月の総括

この記事の関連キーワード

乾山葵紋大鉢の水挽き

こんばんは。雨が上がり今日は清々しい一日でした。今朝は岸和田の市役所に用事があったので、久しぶりに岸和田城の周りを歩いてみました。空気は少し肌寒く感じたのですが、なかなか気持ちよく、見なれた街並みも新鮮に映りました。ここも捨てたもんじゃない、住むにはいいかもしれないなぁ、なんて思いながら旅気分で散策してきました。

こんな日はどこに行ってもそこが一番よく見えるものなのでしょう。しかし用事を終え帰って来た工房は、やっぱりここが最高。湿った土の匂にどこか安らぎを覚えるのです。


伏原窯工房より

私は周囲に緑がなくては生きてられない性格で、昔個展などで都会に一週間ほど居なければならない時などかなり苦痛でした。山々の自然の中で草木の些細な変化を見つけては喜び、鳥の鳴き声に目覚め、季節を感じという生活を長く続けてきました。今更どこに行こうなんてあまり思わないのですが、五月の新緑の風が吹くころは旅の気分に誘われるものです。

少し旅人の気分に浸りながら夢を見ているのですが、工房はいつも変わらず忙しく仕事を進めています。今日は乾山葵紋大鉢を水挽きしました。昨年から何度も見本出ししているのですが、なかなか合格しない品物です。口元が少し「は反り」していて、その部分の轆轤挽きがようびさんのイメージに合わない様です。本歌は乾山の小鉢なのですが、その形を使って大鉢にして下さいと依頼されています。こちらも形がつかみ切れず色々作ってみたのですがうまくいきませんでした。先月図書館から借りてきた乾山の全作品集的な本に、この本歌の高台部分が掲載されていました。なかなか見ることのできない写真でした。私の思っていた形と全然違っていたのにびっくりしました。長年やっていてこんなこともあるんだなと、勝手な思い込みを反省いたしました。

みこみは食器の命

こんばんは。季節が移行していくのでしょうか。目まぐるしく天候が変わっていきます。すっかり山の木々も色濃くなり、散歩に行く小路も小枝が生い茂り、鬱蒼としてきました。足元に動くものの気配を感じたりすると、それはマムシだったりします。びっくりしますよ。これから雨が多くなると工房の入口にも居たりして、なんだか気味悪いですね。本格的な梅雨になるまでには雨樋の掃除をしておきたいと思います。先日の大雨も我が家の屋根は滝のようになっていました。家の周囲が乾かないと、いろんな小動物や昆虫が、外も内も境なく入ってきます。それはそれなりに自然な感じで私は面白がっているのですが、うちの女子たちは気味悪がっています。当然ですね。今年は草刈も早めにして、風通しよくしましょう。

工房は再び乾山陶器に戻って、何種類かの見本作りをしています。先月工芸店様に持って行った「菊紋向こう付け」や「桔梗紋深向こう付け」など、少し寸法を変えて作っています。食器は一ミリや二ミリ口径や深さを変えるだけでも、だいぶ違って見えるものです。工芸店様の仕事は、その寸法に大変こだわりがあります。食器は口作りとみこみ(内側の形)、そして寸法が命です。それらを自由に操れるようになれば、食器作りは面白くなります。お料理がどの様に盛られ、どの様な状況で食べられるのか。色々と想像しながら、みこみを作っていきます。少しヘラの当たりを変えるだけで、みこみが変わり、それにつれて口造りが変わってきます。経験を重ねていくと、自然と美しいラインに到達します。決まった口径に決まった深さ、それが有れば誰だって同じものができると思うでしょうが、しかしそれも100人が100人違った形のロクロを挽きます。

乾山写し 梅文向付

「みこみが違う」とよくこの筋では云うのですが、このみこみの形では料理が盛れないというのでしょう。食器を作っている人たちがどれだけ「みこみ」を真剣に意識している事でしょうか。食器を作るなら、みこみに魂を載せるくらいの意識が有ってもいいと思っています。己の魂をそっとそこに置くくらいの繊細さが有って、初めて私は食器と認めたいくらいです。手造りの食器を手掛けているのですから、優しさ、繊細さ、軽さ、暖かさ、色々な感情や思いがにじみ出ていてしかるべきものでしょう。

金蘭咲く

こんばんは。今日は皐月晴れの心地よい一日でした。朝の散歩も今年初めての半そでシャツで、さわやかな風を心身に受け気分のいい思いで40分歩いてきました。野辺に咲く野草も光に輝き、鶯の音も木霊して心がのびやかになりました。今週の仕事はかなりハードなスケジュールになりそうなので、落ち着いた時間をキープすることに注意したいと思っています。

貝塚市の山手地区公民館が今年20周年を迎えることになりました。私どもの陶芸クラブも創立以来の伝統とあって、「創部20周年作品展」を開催する事になりました。貝塚市コスモスシアターの小ホールを借りて、作品展示とクラブ紹介を今月21日金曜日から23日日曜日まで開催いたします。その準備に先週から追われています。今日も午後から入れ替わり立ち替われ人がやってきて、準備のあれこれに指示を出していました。

十草文汲みだし

金蘭咲く

この記事の関連キーワード

再び陶器オーダーメイドについて

こんばんは。早いもので五月も半ばになってきました。しかし気候は三月の陽気と言っています。引き続き五月になっても寒暖の差が大きく、私たちの工房もストーブなしでは寒いくらいです。異常気候になれば暑くなっても温暖化、寒くなっても温暖化が原因ということになっています。それもいかようなものなのでしょうか。私にはよく分からないのですが。もっと何か違った要因も多くあるように思うのですが。といっても現実は各地にかなりの影響が出ていると聞きます。東北地方の農家の方々が一日の温度に神経立てているという二ユースを見ました。

工房は私が十草紋の大汲み出しをロクロ挽きしています。すたっふMさんは引き続き磁器七寸皿の素焼きに、呉須で牡丹紋の絵を描いています。丁寧にまた細やかに時間をかけながら絵付けをしています。大変贅沢な七寸皿になっています。オーダーメイドだからここまで時間をかけることができるのでしょう。インターネットが出てきて私たちの仕事も変わって来たと思います。HPを活用し色々な仕事を自ら作り出していく工房や、自らの作品を多くの人に発信している人たちも増えてきたと思います。しかし作品を創作し、またネットを毎日活用していくことは案外労力のいることだし、それだけの情報を日々出し続けることは難しい事ですね。単調な仕事からネットに上げる情報を紡ぎだすことは、それはそれで才能の一つだと思います。

私たちはHPでオーダーメイドの仕事を確立したいと思っているのです。工芸店に卸している仕事も、そこのお店のオリジナルとしてオーダーを掛けているのです。それは個人が私たちに発注鵜することと変わりがないと思います。私たちの仕事は量産に適しておりません。一つひとつ仕事のクオリティーを極限まで高めたいと思っているのです。そういう仕事は、ネットを活用しオリジナルを求めるお客様に呼びかけることが一番いいのではないかと考えています。

先週東京のあるお茶人から「玄猪香合」の依頼を受けました。今年11月下旬に釜を掛けるそうです。そこで季節に合うこの香合を使ってみたいと考えておられるようです。より深くオリジナリティーを求めていこうとしている事に、私たちは協力したいと思っています。一つひとつの心に丁寧に接する仕事を私は求めております。

陶器オーダーメイドから

こんばんは。山々にホウの花が咲き始めました。大型連休も済み山も静けさが戻ってくると白いホウの花が咲き始めます。またこの時期を境に木々の緑も一段と色濃くなってきます。フジや桐の紫が色めく存在感を主張しています。生命の躍動を感じる季節に入ってきました。

十草飯椀(小)ろくろびき

オーダーメイド「染付牡丹文7寸皿」工房はすたっふMさんが磁器の七寸皿に呉須で牡丹の絵を描いています。私は十草紋飯椀の小さい形をロクロ挽きしました。工芸店様の注文です。通常作っている飯碗より口径を小さく10センチにしてほしいという注文を、HPのオーダーメイドのコーナーに頂きました。何点か作らせて頂き一つを納めました。先月ようびさんから十草紋で大汲み出しの注文を頂きました。ちょうど子ぶりの飯碗が残っていたのでそれらを見本がてら持って行きました。いい見本になり汲み出しとともに小ぶりの飯碗まで注文を下さいました。お客さまのオーダーのお陰です。一つのオーダーもやはり大事に作らせて頂くと、いつ何に繋がっていくかわかりません。大事、大事。ひとつを大事にしなくてはなりませんね。

人との繋がりを、心の繋がりをもう一度考えさせられました。心を形に表していきたいと実感いたしました。私はお客様一人ひとりの思いを形にできたらいいという思いでHPを立ち上げました。この頃少しずつですが私の思いが形になってきたと実感しております。もっともっとこの思いを皆様と共有していきたいと思っています。

陶器オーダーメイドから

この記事の関連キーワード

ヘラ作りをしています

こんばんは。ゴールデンウィーク明けとあってか、今日はごとびといえども何となく車も空いていてお疲れ気味の月曜日です。

近頃工房は何かと気ぜわしくざわついて居ります。色々な仕事を入れているせいもありますが。最近磁器を復活させたので、以前と違って三本柱で仕事を進めています。一つに色絵を主体にした古清水系の焼き物。それには仁清も含まれています。また工芸店様からの乾山陶器の注文もたくさん頂くように様になりました。またそれに加え磁器の復活。一見磁器や土ものが混在してばらばらな様に思えますが、私には共通する物を感じて仕事を進めています。

特に磁器は窯の焼成方法も違うし、扱う原料も根本から変わって来ます。同じ工房でこの様に土もの、磁器ものの仕事をするということは滅多にないのですが、どうしても私は磁器を手放す思いになれず、またお客様の要望も増えて来て、今年から復活させることにしました。今は徐々にですがオーダーメイドを中心に仕事を進めています。今回も蕎麦猪口、七寸皿にオリジナルの絵付けをしセットでお使いになられるという方からの注文を受けています。因みに乾山も磁器の仕事をしているので、乾山磁器で新商品を考えて居ります。

今日の仕事は十草紋飯茶碗のシリーズもので「大汲み出し」と「夫婦茶碗」の寸法割り出し、それらに合わせたへら作りをしました。肌理の細かい土なので寸法や形状が少しでも狂うと、全く違った作品に見えてしまいます。故に慎重にへらを合わせていきます。

ヘラ作り

乾山陶器焼き直しの一件

こんばんは。皐月晴れの中、まさしくゴールデンウィーク真っ盛り。観光地は大賑わいです。この付近でもこんなところで渋滞という事が多く発生しています。私どもはいたって平常どうり仕事に進めているのですが、用事で外に出ると、農業公園には多くの家族で賑わっていたり、近くのアスレチックにもたくさんの観光バスでごった返していました。

工房はその賑わいからまだ山の奥に位置するので、静かに仕事を進めることが出来ます。
今日は注文の作品と以前焼いた乾山陶器の焼き直しを窯詰めしました。土曜日に薬掛けを終えていましたので、早めに窯に入れ午後6時には火を入れることが出来ました。

乾山陶器の焼き直しは釉薬が思った様に熔けていなくて、鉄絵の発色が鈍く眠ったような色合いになってしまいました。釉調は前のテストで合格をもらっていたのですが、釉薬の厚みや温度との加減がいまいち掴めない状態です。一般に釉薬を薄く掛けることには抵抗があるのですが、乾山陶器はどちらかと云えば作品全体が絵が主流になっているのでうわ薬は薄掛けされています。薄掛けし低温で焼かれているのですが、この様な状態では今の時代食器には不向きで用をなさないと思います。

そこである程度の温度で焼いてもマットな感じを残しつつ、また乾山陶器の風情おも感じさせる器を作らねばならない事になります。昨年より一つずつ色々な角度で乾山に迫っています。もう少しのところまでやって来たと感じているのですが。

今回焼き直しがどの位鉄が発色してくれるか大変楽しみにしています。ガツンと発色してくれたらもうそれでいいと云われています。少し温度も上げ気味に持っていこうか検討中です。