なるみ庵

和漢朗詠集「端午」の和歌。
わかごまと けふにあひくる あやめぐさ おひおくるゝ やまくるなるらん
当時の宮中では、5月5日に馬を走らせて速さを競う「駒くらべ」の行事と、あやめ草の根の長さを競い合う「根合わせ」という遊びがありました。
この二つの勝負事を掛け合わせて、「どちらも負けないくらい立派で、勢いがある」という、おめでたい歌に仕立ててあります。
この和歌は、『源氏物語』「蛍」の巻で、端午の節句に光源氏が花散里を訪れた場面にも出てきます。
花散里が、
「あやめ草 つみても今日の ねにぞ泣く 語らふ人の 影しなければ」
と詠むのに対して、光君は、
「若駒の 迎えに徹る 今日だにも おくれぬねには 誰か泣くべき」
と返します。
「若駒が負けるはずがない」という元の歌の勢いを借りて、「私はあなたを裏切ったり、忘れたり(負けたり)しないよ」と、花散里への変わらぬ愛と安心感を伝えているのだそうです。
元の和歌を知っているからこそ分かる、光君の粋な返し。
格好良いですね。
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