2009年 4月 の投稿一覧

一歩前進

こんばんは。久しぶりにブログを書いています。季節が変わり工房も大きく変化しようとしています。昨年より積み重ねて来た乾山陶器が本格的に始動出しました。先週ようびに持って行った仕事が一歩扉を開けた様に思います。昨日の窯は色々な思惑とテストも兼ねて焼いてみました。少々不安でしたが一つのコンセプトとしてどうしても通過しておかなければならない「窯」でした。釉薬の薄さもさることながら、温度を今までより10度下げて焼き上げるという事は私の今までにない経験でした。乾山陶器の釉薬の扱いがどうしてもかなり薄いので微妙な感覚が必要とされます。

一歩前進

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食器も変わる

こんばんは。昨日の雨で注文していた筍はまずまずの出来栄えを頂くことが出来ました。今年はもう筍も終わりに近くなってきて、そんなにいいものも出てこないということでした。天候が4月になっても安定していなく、初旬の寒の戻りの様な寒さがあって、一気に夏日の様な、この季節にはなかった陽気が続きました。筍も陽気につられて出尽くしてしまったようで、でも昨日の雨は恵みの雨となり、今日は何とかいいものがとれたということでした。

早速朝掘りの筍をお土産に持って、工芸店様に出かけました。今回のお話は慢幕紋の筒向(つつむこう)を見せることです。私どもが古清水をはじめて4年になりますが、最初からこの筒向を作ることが最大の課題であり、また最終の作品になっていました。乾山の入り口に位置する作品でもあると真木さんは考えていたのでしょう。もう三年も前になるのでしょうか、京都国立博物館で「京焼展」があり、そこにも出展されていました。間近に見ることが出来たのは大変参考になり、その雰囲気がその時掴めたのも大いに為になりました。

一見、鉄と呉須の簡単な絵付けに見え、また造詣も同じく難しいものを感じませんが、実はそれがいちばん難儀な世界です。ごまかしの効かないストレートな轆轤で、古清水が持っている食器としての最高の贅沢である「品格」を作れているかという事に尽きるのです。今日明日で作れるものではない事がやっと分かって来ました。

面白い話に「乾山は京焼と云う事が分かった。」と4年前真木さんが云われた事をこの作品を作ることで私は実証したかったのでしょう。40年も一線で食器一途にやってきた人が、単にこの言葉を出したとは誰も思えません。しかし乾山陶器を本当に作るとなれば、相当の覚悟と度量がいることは間違い有りません。今までいかに乾山がうわべだけでとらえられてきたか、その様な食器が作られてきたか、真木さんはいやというほど経験されてきたのです。

有りがたい事にその事の重要性を知るきっかけを頂き、私たちは古清水の写しをベースに4年、作陶に打ち込ませてもらいました。薫陶という言葉がありますが、知らず知らずのうちに古清水が持つ雅さが私どもの仕事にも写って来てくれたのでしょう。筒向を挽く轆轤が何とも表現しがたい思いの籠ったものになりました。そのことが今日作品を見せて、真木さんに伝わったということはうれしい限りです。

また違った次元の器がこれから作られて行くことでしょう。大きな楽しみになってきました。

古清水慢幕深向付写しのテスト

こんばんは。東の山から今日は満月でしょうか、大きなお月さまが昇って来ました。工房を出る時、タイミングよく「ほっほ、ほっほー」とふくろうが鳴きました。春だなあ、と思わず安ど感がやって来ました。寒さから解放されるほどうれしい事はありません。春眠暁を覚えず。とろとろと惰眠を貪りたいですが、そういうことも言っておれませんね。

今日は昨日焼きあげた耐火煉瓦の窯出しでした。午後からすたっふMさんが来てくれました。思った様な結果が出たので、まずまずの成果だと思います。昨年末から続いています「乾山」陶器の結果がでて、土味がやはり窯を変えることでかなりいい感じで出てきました。この土味なら色々なテーマで乾山を作ることが出来ると確信出来ました。また、古清水慢幕深向こうの写しテストも、鉄絵や呉須の色会いが一回目としては結果が出せたと思います。早速工芸店様に電話を入れました。今日の窯の結果を検証して次の作品へとイメージを作ろうということです。今回の窯の結果から乾山のオランダ写しが私どもでもできそうな感じになって来ました。

以前にも書いてみましたが、窯が変われば同じ土でも、また同じ釉薬でも全く変わって来ます。特に昔の写しをベースにする仕事はどうしても今風の窯では風合いが異なって来ます。そこで土をあの手この手と色々調合してみるのですが、やはりなかなかうまくいきません。どこが違うのかと云えば、それがそう簡単に説明が出来ないところなのです。見比べればなるほどとうなずけるのでしょうが、単独で出されたらよっぽど精通していないと分からないようなものです。そこまで拘らなくてもという思いも正直働くのですが、どうもその辺が不器用に出来ているのでしょうか、私は拘り続けてしまうのです。よく作品作りより実験工房風になっていると笑われています。

今回は一応の結果は出せたのでしょうが、これからまだまだ材料を変え実験は続いていきます。その過程から思わぬ面白い作品が出てくることを私はいつも待ち受けているのですが。色々と繋がっていくと今まで出来なかった事や分からなかった事がするすると謎が解けていくのが面白いのです。新しい地平に立つことが私にとって最高の喜びなのでしょう。

工房の春

こんばんは。今日の天候で桜が満開になったところも多いのではないでしょうか。実家から工房に向けて車を走らせて来ましたが、途中目にするソメイヨシノはほとんど満開状態でした。ああ、季節が過ぎていきますねえ。今週いっぱいで桜吹雪が舞い散るでしょう。寂しい限りです。

工房は先週末素焼きをした乾山陶器や慢幕深向こうなどの釉薬掛けをしました。夜に耐火煉瓦の小さな窯に入れ一日掛け焼いてみるとこにします。年末から準備をして、やっとここまで来ました。結果が楽しみです。

今日は工房付近の春を撮ってみました。

桜

工房の春

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乾山写し 湯呑

こんばんは。今日はあいにく雨模様でお花見は明日に持ち越しのところが多いのではないでしょうか。私どもの仕事は季節の先取りで進めていますが、桜は一月の末より仕事にかかっています。すたっふMさんは今年も桜尽しで、注文の数を納めるのに今月いっぱいかかるようです。ここまで来るといくら好きな桜でも食傷気味のようです。一度納期を忘れてのんびり桜を愛でてみたいものですが。八重桜なら時期もずれてくれるので良いかもしれませんね。造幣局の通り抜けにでも行ってみたいものですがいつのことやら。

工房は京焼葵紋平向付の絵付けの続きです。夕方遅くに葵紋の花弁の釘彫りをし終わりました。 葵紋がこなれてきたので、早速乾山写し絵替わり向付にも取り掛かりました。来週月曜日に慢幕紋などと一緒に窯に入れてみるつもりです。 今日は遅くなりましたが素焼きをし、月曜日の準備にかかります。


 


乾山写し 湯呑絵付け

京焼 「葵文平向付」絵付け

こんばんは。四月に入って寒の戻りという言葉はないでしょうが、昨夜は雹が降ったり、また所によっては雪になったりと大変寒いところが多くあったようです。山の生活はまだまだストーブから離れることができませんが、山桜の色合いは近年にない美しさで感動を覚えます。この寒さでは夜桜に出かける気分にはなりません。

工房は昨日に続き葵紋の絵付けに取り掛かりました。昨日割を入れたところに、鉄と御須で花びらを描いていきます。生素地に直接描いていくので、花ビラの感じが一層出やすくなっています。墨絵を描くように水で薄く伸ばした絵の具を花びらが重なったような感じにふわふわっと描いていきます。花も大小変化を付けて遠近を出していきます。

書き終わった花ビラに釘彫りで花弁を入れていきます。幼い頃画用紙いっぱい色んな色のクレヨンを重ね塗りして、引っ掻きながら絵を描いたことがあるでしょう。その要領と同じ事なのです。どこか稚拙な線が有る方が面白いと思います。

乾山がよくしていた技法の一つですが、ルーツは絵高麗、中国磁州窯に有ります。私がまだ駆け出しのころよく写した窯の一つです。 この技法を使い色々な器に挑戦していこうと思っています。


京焼 芙蓉平向付絵付け

葵紋平向付の生素地に割入れ

こんばんは。今日から四月。年度が変わり社会では新しくスタートを切る季節です。新入社員を迎えて張り切っているところがニュースに流れています。新鮮な気持ちをいつも持ち続けていきたいものです。

工房は昨日素焼きした深向付にすたっふMさんが来て絵付けをしている所です。私は葵紋平向付の生素地に割入れをしています。鉛筆でどこに絵を描くか簡単に印を入れていきます。明日この素地に呉須と鉄絵の具で葵紋を描いていきます。二人で進めていく作業なので、Mさんの絵付け待ちになっています。

今回の深向付は見本のつもりですが思いの他楽しく面白く仕上がって来ました。一つずつの作業を互いに確認しながら呉須の色合い、また鉄絵の具の濃さなど色々と仕込んで行きます。新しい作品を生む作業はどこか不安と期待でわくわくしています。長く時間がかかっていますがようやく一歩前に行くことが出来ることでしょう。

葵紋平向付の生素地に割入れ

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