陶主日記 令和八年六月二十三日  徒然草 第二十段

陶主日記 令和八年六月二十三日 徒然草 第二十段

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陶主日記 令和八年六月二十三日

徒然草 第二十

某とかやいひし世捨人の、「この世のほだし持たらぬ身に、ただ、空の名残のみぞ惜しき」と言ひしこそ、まことに、さも覚えぬべけれ。

一字 空

一句 なるみゆく 空の名残や 梅雨曇り

なるみのことば

兼好は西行のこと葉を借りて、もののあわれを託した。

説明しない。断言しない。ただ、置く。

見えないものに託す——それが日本のこと葉の作法。

風土がくらしを作り、くらしからこと葉が出る。こと葉は木の葉のように、自然に茂り、風に揺れ、やがて散る。

偏西風が吹くこの島では、変わる変わるを楽しみ、時を風に任せる。力まない。それが、なるみゆく。

旅するうつわに餞別を持たせたい——それは粋人の親こころ。器は見えないものを宿して、使う人のくらしへと旅立つ。

見えないものに託す。

これ以上、説明しない。

令和八年六月二十三日 曇り 伏原窯 陶主

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