山に霧のかかる日

山に霧のかかる日

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なるみ庵

夕方には雨が降り出し、遠くの山々に霧がかかり、幻想的な風景に様変わりしました。

 

私が伏原窯に入門した当初、泉佐野の有形文化財・新井邸で年に一度展示会を開いていました。

多くのお客様が来られる中、いつも丁寧にお祝儀を持って来られる紳士、Tさんがいらっしゃいました。

趣味で陶芸をされていて、陶主との話をいつも楽しまれていました。

何年かして、Tさんは「先生のクラブに入れてもらえませんか」とお願いに来られ、公民館の陶芸クラブの会員になられました。

沖縄ご出身の方で、お土産にサーターアンダギーをよく持ってきてくださいました。

Tさんは、霧のかかる山の景色を好まれ、今日のような日には、ひょっこり上がって来られたものです。

ある時、中国の山岳を巡る絶景ツアーに申し込まれたものの、ご高齢のため保険が適応されず、参加出来なかったと残念そうに話されていたのを覚えています。

 

最後まで、陶芸のある一人暮らしを大切にされていました。そんなTさんを私はとても尊敬していました。

亡くなられてから、もう何年も経ちますが、

こんな日は、Tさんがふらりと遊びに来られるような気がします。

霧かかる山

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