窯元日々雑感 そこがあなたの大宇宙

窯元日々雑感 そこがあなたの大宇宙

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陶主日記  雑感

令和八年九月十八日(金曜日)曇

心がこころに溶け合えば、そこがあなたの大宇宙である。

鈴木大拙が「霊性」と呼び、岡潔が「情緒」と言い表した、日本人の底流にある精神世界。それは、外から入ってきた仏教の壮大な宇宙論、儒教の緻密な実践倫理、そして日本古来の自然観(古神道)が幾世代にもわたり融け合い、結晶化した「絶対的な信仰」の境地である。

近代の西洋科学は、人間が知性(エゴ)によって世界をコントロールしようとした結果、原爆というカルマを生み、報復の連鎖という濁流に行き着いた。

いま、最先端の量子力学や量子コンピュータの世界が「主客の分離などない」という宇宙の真姿を突きつけ始めている。何の抵抗もなくその地平を超えていけるのは、この東洋の智慧を持ち、「生かされている」という信仰を抱く者だけである。

しかし、その宇宙の真理は、難しい理屈や頭の中の哲学にあるのではない。それは日々の「暮らし」の中にこそある。
土をこね、人知を超えた窯の炎にすべてを委ね、万を超える「旅するうつわ」を送り出してきた半世紀の歩み。その行き着く先は、ただ一つ。
「ただただ、合掌。なむあみだぶつ。」
お食事をいただく時、私共の食器をお使いくださるお家が幸せであれ、と祈るのみである。

「普通が一番」「旅するうつわ」「こころがかたちに」――個展という枠を持たず、祈りを込めて作られた器たちが、人から人へ、暮らしから暮らしへと旅を続ける。その営みそのものが、エゴを融かし、世界を調和させる静かな光となる。

結局、人の中にこそ大宇宙が存在している。

閉じるも、開くも、すべては意識ひとつ。

自分という殻を脱ぎ捨て、心がこころに溶け合えば、今ここにある日常の暮らしそのものが、輝かしい大宇宙となる。

――水間焼伏原窯 陶主・伏原博之の歩みと、大宇宙への祈りをここに記す。

 

 

 

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