なるみと読む徒然草 第四十六段
柳原の辺に、強盗法印と号する僧ありけり。度々強盗にあひたるゆゑに、この名をつけけるとぞ。
一字 兆

一句
箱の中 蝉捕まえし 形なく

陶主日記
昨日の良覚僧正に続き、今日もまた「名」の話であった。法印も僧正も、本来は最高位の名。それが柳原の強盗坊主にまで付いていることに、当時の風潮を感じる。「しらす」の政治が、名の力で民をまとめられなくなっていく——鎌倉末期、南北朝、応仁の乱へと続く世の乱れの、これがはじめの兆しではないか。
なるみのことば
法印、僧正——最高の位という箱に、確かに人はいた。それなのに、今その中身は誰にもわからない。位という言葉を重ねるほど、実からは遠ざかっていく。
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