陶主日記 徒然草第二十四段
令和8年6月27日(土)
斎宮の、二の宮におはしますありさまこそ、やさしく、面白き事の限りとは覚えし。すべて、神の社こそ、捨て難く、なまめかしきものなれや。もの古りたる森のけしきも、たぎならぬに、「なかご」「染紙」など言ふなるものをかし。玉垣しわたして、榊に木綿懸けたるなど、いみじからぬかは。殊にをかしきは、伊勢・賀茂・春日・平野・住吉・三輪・貴布禰・吉田・大原野・松尾・梅宮。
斎宮とは、天皇の即位のたびに伊勢神宮へ奉仕するために選ばれた未婚の皇女のこと。「なかご」「染紙」とは斎宮だけに許された特別な呼び名で、神域に入った女人は、名さえも別のものに変わった。源氏物語の六条御息所の娘もその一人——母の激しい業を背に、伊勢へ下り、静かに神のそばで生きた。
榊
雨の朝、榊という字を書いた。
木と神、それだけでできている。
斎宮は、神のそばで「古もって」いく。
やさしく、なまめかしく——それでも、捨て難い。
榊に宿る露の一粒に、千年の伊勢がこもっている。
雨に古 榊の露の 伊勢こもり
なるみのことば
奥にしまったものが、いちばん深く写っている。
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