2011年 8月 の投稿一覧

嫋やかなこころを

おはようございます。厳しく荒れた8月も後二日。今日の工房は朝から穏やかな日差しが降り注ぎ、蝉の声に癒されています。今年も何とか無事に夏を終えることができました。九月からは季節も変わり、年末に向けての仕事が始まります。いつものことですが、9月半ばにはお正月商品の下ごしらえをし始めます。今年は震災もあり経済が大きく落ち込み、皆様のこころも委縮しています。どの様な作品がお客様のこころに寄り添えるか、いろいろと考えながら下準備をしたいと思っています。

私は長く陶芸の道を歩ませていただきながら、常に思うことがあります。焼き物は単に使われる道具だけでなく、人の心の深層部まで繋がることのできる物だと考えています。よく私は「ハート・ツー・ハート」と言います。道具を超えた活きたこころとして通じ合うことができる物だと確信しております。

もう25年前でしょうか。私にとって大きなまた励ましのエピソードがあります。ここにきてまだ独立して間もない頃、展示会で一つのお湯呑を買われたお客様が、後日私の工房にやってこられ、「失明された友人に、買わせて頂いたお湯呑をプレゼントしたのですが、彼女が手のひらにそっとお湯呑をのせて、こんなにやさしいお湯呑があるのね、と言われた。」といいます。そして「心に釉薬の色も見える。」と仰ったと。私は何か自信を得たように思えました。間違いない、この世界(陶芸)には通じる道がある。この道を歩めば必ず伝え合う世界が生まれる。

今年は激動の年です。もしかしたらここからが始まりなのかもしれません。厳しく心が折れることが頻繁に起こるかもしれません。人は弱いものです。しかし人は心をつなげることで、柔軟に激動の波を超えることができると思っています。この時期こそ、嫋やか(たおやか)な精神が必要になると思っています。

工房の朝、静かに目と閉じ、祈りを捧げ、今日も丹田に力を入れ、仕事を進めます。

嫋やかなこころを

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時期を逸すれば

t20110822.jpgお早うございます。8月も20日を過ぎるとすっかり季節が変わり、蝉の声もミンミン蝉やツクツク法師に変わってきました。昨日、日本ミツバチの師匠がやってきて、今年は20リットル、30リットルも採れたといっていました。さっそく我が家の巣箱も採蜜しようということで、ネットを被り慎重に巣箱を開けてみましたが、これもなかなか難しいものですね。お盆過ぎに採ろうと言っていたのですが、どうも時期を外したようで、分蜂した後だったようです。そういえば一週間程前巣箱にたくさんの蜂が飛んでいました。分蜂しているのかな?と思ったのですが、こちらも忙しくしていたので、お盆が終わったのに延ばし、延ばしした結果だと思います。非常に残念です。スムシは入っていなくて助かったのですが、師匠はこれからまだ蜜をとってくるから、岸和田祭りあたりにもう一度見てみよう、と慰めていました。今年こそと張り切っていたのですが、まあ、一縷の望みを託して観察していきます。

何事もタイミングを逸するとダメですね。私たちの仕事も土の乾き具合を見極めて仕事を進めます。特に細工仕事は乾燥に注意をし、霧吹きなど使って要所、要所に適当な湿気を与え、その細工に遭った乾燥に合わせます。一個の品物なら乾燥の具合を時間に合わせて仕事を進められるのですが、数ものになると、全体を何日も同じ湿気で維持させなければなりません。新聞を湿らせて品物に被せたり、それをまたビニールで覆いかぶせたりと、全体を室で覆った格好にして、仕事を進めていきます。
土の接合は同じ固さでないと乾燥時にヒビが生じてきます。せっかく作り上げた品物が、乾燥と共に接合面に亀裂が入る。乾燥してしまうと後戻りできないのが陶芸で、悔しい思いに駆られます。
時間の流れをうまくとらえ、自然体に仕事が進むことを願って、日々是また精進です。今日もまた、よろしくお願いいたします。

時期を逸すれば

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66回の終戦記念を終えて

お早うございます。時間の経つのが怖いほど早く感じています。八月に入りお盆の支度をしなくてはと思っていたら、今日はもう藪入り。京都五山の送り火。いろいろなニュースに送り火も翻弄されたようです。まだまだ私たちが震災後の生活に軸を持っていないことの証しだと思います。国会もなにやら遅きにしした思いがありますが、ようやく動きがでてきたかな、そんなことを思うと、「甘い!」とお叱りを受けそうですが。しっかりとした方向と迅速な行動を期待したいと心底思っています。

八月に入って世界経済がガタガタと震度8レベルの強震に見舞われました。以前から指摘されていたことですが、いよいよマネーの崩壊か?と思わせる事件が続きました。戦後がいつの間にか戦前になっている、そんな思いに駆られています。昭和大恐慌、戦前とは仕組みや構造が全く違った世界情勢ですが、結局リーマンショックから三年、状況が好転したかと言えば、むしろマネーの増発で各国はインフレに悩ませられるようになってきました。各地で暴動が金髪に起き、方向性のない行きづまった状況が今も事態を深刻化させています。リーマンショック後アメリカは巨額なマネー、国債を世界にばらまきました。そのマネーで中国や後進国がGDPを上げてきました。中国経済はバブル化し、その発展を加速しなければ経済は持たなくなってきました。その歪みの象徴が高速鉄道の事故だと思います。アメリカの国債の格付けが下がることと、あの事故とは深い因果関係があると思っています。

デフレに悩む日本でさえ「金」ゴールドのニュースが流れ始めました。金の価格が史上最高値を出した。それって市場経済に対する恐怖心の現れでしょう。ドル安やインフレに対するヘッジだけが要因ではなさそうです。どうも事態は深刻になってきたように思います。こんな心配当たらない方がいいに決まっているのですが、今年後半年末にかけ、八月に起こった事態がどのように推移意していくのか、心して注視したいと思っています。

明治の先代方もいろいろな苦難を通り越して、立派な作品を世に残してこられました。時代が変わろうとも人のこころは変わりません。いつもいつもこの原点を見つめて、私たちの仕事を進めて参ります。

66回の終戦記念を終えて

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