乾山陶器と白化粧

乾山陶器と白化粧

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こんばんは。今日はひな祭りです。桃の節句といいますが、季節は節分に戻ったような寒い一日でした。小雪が舞っていました。いつしかみぞれ混じりの雨に変わりました。工房が温まるまでなかなか仕事が手に尽きませんでした。昨日の鉢の削りが残っていたのでそれを片付けて、いよいよ今日は白化粧に取り掛かります。

白化粧は色々な調合が有って、案外どこの家でも秘密にしています。乾山も白化粧にはかなりうるさかったようで、秘伝とまで言わしめています。当時の京焼では化粧掛けは珍しく、仁清の壺に若干刷毛目を施したものがあるくらいです。刷毛目技法は乾山陶器の大きな特徴となっています。一般に白化粧は粗雑な土をコーティングすることが大きな目的なのですが、乾山は白化粧を意匠に使って、今までにない感覚の陶器に仕上げています。この様に化粧を使ったのは、世界でも乾山が初めてではないでしょうか。そういう意味からしても乾山は、陶器の手順にとらわれず自由な発想、斬新な意匠を展開しました。

やはりベースになるのは琳派絵画です。王朝復古的な世界を陶器に展開させていく事が大きな目的になっているので、「白」に何かしら大きな意味を持たせているように思えます。専門的なところから調合を見てみると、大変素地と相性のいい白化粧を使っています。刷毛目を施すタイミングも素地が少し乾いた状態でされています。刷毛目が何気なくやんちゃに塗られていますが、実はこの塗り方はかなり手間が掛かっています。

今回新しくこの為に調合した白化粧です。思った様な刷毛目が出てくれればいいのですが、土との相性もあって乾燥時に剥がれてしまうことも間々あります。これからが一つずつ手探りで進めていく、面白いところでもあります。

今日の化粧は思った様に素地に乗ってくれたと思っています。

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