されど箸置き

されど箸置き

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昨夜の雨も朝には上がっていました。西の方から青空が見えてきて澄んだ空気の中、日課のウォーキングをしてきました。この時期になるとこんなお話を思い出します。染織工芸で今人間国宝になって居られる志村ふくみさんの著書の中に出てくるのですが、桜の薄い桃色を染めたいと思い、花びらをいっぱい集めて試したのですが全然染まらない。どうすればあの美しい桜色が出るのか、色々と試したそうです。たぶん幹や根を集め色々な焙煎方法を試されたのでしょう。ある冬の日桜の幹が異様に赤い事に気付かれたそうです。早速その幹を使って染めてみたら、あの桜色が出たという事です。寒も過ぎ冬も底打ちした頃、桜は春の準備を終え木全体にあの桜色を溜めるのでしょうか。二月も中旬を過ぎると桜の幹が日に日に赤茶に染まっていくのが分かります。赤茶に染まってつやつやしてくる幹を見て、ああ今年もそこまで春が来たあと感じます。今日はまだ桜も静かにその時期を待っているようでした。

工房は「色絵金銀彩扇型箸置き」の削り仕上げをしました。午前中に5個、午後からは「火曜教室」で5時半まで授業をしました。皆さんが帰られて続きをしました。合計10個を仕上げすることが出来ました。型抜きの仕事は仕上げにも時間がかかります。思った以上の手間が必要で、しかしきっちり手を抜くことなく進めていくと、「気持ち」が入っていくことが面白くなって来ます。どこか「馬鹿」になってやらないとどうしても入っていかないものがあるようです。計算できないところまでやることが、結果面白い世界が生まれてくると思っています。器用に計算できる人は、馬鹿ばかしく、こんなことはやってられないでしょうね。

たかが箸置き、されど箸置き。どんなものでも徹底的に作り込んで行くとどうなるのか?何が起こるのか、そんな事を思いつつ、どこか度外視して面白くやっています。

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