辰砂釉の花瓶

辰砂釉の花瓶

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こんばんは。昨日今日と春を思わせる陽気が続いています。散歩で見る梅も早いところではちらちらと咲いていました。昨年生まれたのでしょうか?かわいい鶯が枝に止まっていました。絵に描いたような光景に思わず笑ってしまいました。

工房は京焼十草紋飯碗の削り仕上げを続けています。昨年大阪の雑誌「大阪 大人組」に掲載された記事が、読売新聞にも掲載されました。朝から古くからのお客さんが連絡してくださり、また奈良から水間寺にある三重の塔を写真に撮りにきたと言うお客さんも、新聞を見て足を延ばして来てくれました。なかなかのタイムリーです。雑誌の反響はイマイチだったのですが、やはり新聞は皆さんも目にとまるのですねえ。思わぬ効果が有りました。この何年間は展示会もしていないので古くからお付き合い下さっているお客様ともなかなかお会いする機会もないままでした。何とか個展も開いてみたいと思うのですが、注文で時間がいっぱいになってしまっています。これも今年の課題の一つなのでしょう。直にお客様と接する機会を作りたいものです。

今は京風の作品がメインになっていますが、その前は個人的に進めていた仕事に「辰砂釉」が有ります。今日も辰砂の掛かった小花瓶を購入されました。辰砂釉とは赤い釉薬でなかなか美しい赤は難しいものなのです。土、窯、釉薬、作者の気質とが合わないと美しい赤は生まれません。私はどういう訳かこの辰砂釉とは相性が良くて、若い時分からうまく赤を出すことが出来ました。その後色々と研鑚を積んで独自の色を作ることができるようになりました。この辰砂で何回か展示会もしました。かなりの好評を得ましたが、特に女性の方には人気が有りました。この辰砂がうまく出るためには特殊な材料を使うのですが、この材料が今はもう手に入らなくなりました。今手元に残るこの材料はほんのわずかで、それに代わるものを見つけるには大変な労力が必要と思います。今となっては貴重な色だと思います。

いい色を出し続けていくことは至難の業です。その時代その時その人びとの感性で色は変わってしまいます。これからの時代の色はどの様な色合いになっていくのでしょう。コツコツと積み上げていくことでしょうか。この道は長いですね。

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