桜のこころ

桜のこころ

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山桜が色とりどりの姿で咲き誇っています。これから1週間はみごろですねえ。店長日記を読まれた方は、どうぞ御越し下さい。

年々この付近の桜は美しさを増しています。渓谷に咲く桜は、こんなに種類があるのかと驚きます。山桜はソメイヨシノと違って葉と伴に花も咲かせますが、葉の色が大変豊富で濃い海老茶もあれば、うすき色もあり、また花の形も個性的一つとして同じ形はありません。またソメイヨシノは咲いたかと思えば散り際が早く、それに比べこの山桜はまだ長く咲いていてくれます。

 

私も桜が本当に好きになったのも、だいぶん歳を重ね鑑賞できるようになってからです。
花冷えと云いますが春の嵐がやって来ると、こんなにも待ち遠しくやっと咲いたぞという喜びも束の間、この一塵の風と共にすっかり散ってしまうのですから。
あまりにも儚く、時の移ろいにこころが追い付かぬまま、桜は散ってしまいます。

遠い昔この様なお話を聴かせて頂いたことがあります。「諸法実相の舞い」と題された法話ですが、少し紹介いたしましょう。

 昔、中国の楚の国の山奥に一人、庵を結んで住む僧がいました。朝昼夜と一切経を紐解く毎日でした。或夜、「法華経」を読誦していると、人のいない山中に人の気配がします。表に出てみたが誰もいません。そのことが二夜続いた。三日目の夜、僧の前に美しい女人が現れました。彼女はじぶんが草木の精であることを仄めかし、経を聞いた礼を述べて、僧の前で次の詩(うた)を謡い、舞った。

「それ、非情の草木と雖も、真は無相真如の体なり。一塵法界の心地の上に、雨露霜雪を見ずとも一念一枝の花を献げ、御法(みのり)の色を現わす時、一華開ける春の朝(あした)より、日輪月輪の時を超え、終わりなき色に染める心まで、諸法実相の隔てなし。」

なんとも美しい光景でしょうか。春の夜のかがり火に舞う能のようで、幽玄な世界に誘われます。

春、桜を観るとこの情景が脳裏に現れ、時の移ろいの中でしか見せない「諸法実相」の真の姿が感じられます。

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