「かろみ」の展開

「かろみ」の展開

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こんばんは。ゴールデンウィークも後半になって来ました。好天気が続いているせいでしょうか、また高速道路も格安とあって行楽地は大変な混雑の様子です。といっても私どもはいたって平常で、たまに迷い車が入ってくる程度の静かな時を過ごしています。この連休を利用してか、休耕田になっているところに今年作付けをするのでしょう、遠くに耕運機の音が響いています。

工房は土曜日の続きで、慢幕深向こうの仕上げを終えました。手間のかかる仕上げにもここまで来ると何とか要領を得ることが出来てきました。30個の注文ですが、今回は20個の作りで、焼け具合で10個から15個くらいの納めと思っております。


京焼 慢幕文筒向

この深向こうの特徴は華奢な作りと極上の軽さにあります。深向こうなので持った時の感覚が大変重要になって来ます。また普段使わない器ですのでお箸の使い方がいつもの様な調子でなく、その事の面白みがこの器の特徴にもなっています。はっと驚く軽さがお料理に対する期待感を増してくれるでしょう。

用の美といいますが、この事は何も民芸の専売特許という訳でもありません。日本感覚の器を突き詰めていくと、おのずと行きつく世界がある様に思います。用美(ようび)は暮らしの創造というところに入っていくと考えています。茶の世界も然り。私の作る器は普段使いの器としてあまり適さないかも知れませんが、何もかもを削ぎ落として、唯いのちの鼓動のみが息づいている、そんな器を私は目指しているのです。

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