窯焚き

窯焚き

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こんばんは。今週もまた始まりました。昨日に続き初夏を思わす好天気です。日曜日は実家に行って、両親とともに過ごすようにしています。月曜日に戻ってくるととても工房が新鮮に思えます。工房も曜日によって違った顔になるのが面白いです。今日は午後から慢幕紋深向こうの釉薬掛けです。数は20個と少ないのですが、後の処理がなかなか手間入りです。すたっふMさんが手伝ってくれて丁寧な後始末が出来ました。今回も「耐火煉瓦小窯」で焼きます。
土曜日にこの窯を提供してくれた「藤原陶芸店」が来て初窯の作品を見て一言、「奇跡の様な焼けやね。」ですって。これはなかなか説明しにくいところなのですが、本来一発目にこの様な作品を焼くことが実は困難極まりないことなのでしょう。直炎式の窯なのでいくら小さくても、火前が有り、天井、根っこ、火裏がちゃんとあるのです。作品の位置が10センチも違うと焼け具合の違ってしまいます。この窯が昨年の暮れに入って、かれこれ四か月になろうとしても、考えが決まらずなかなか焚くことが出来ませんでした。イメージが出来上がるには相当の試行錯誤が必要でした。どうしても焼かなくては結果が出ないというところまで考えた末、出てきた作品だったので、私たちにとって有意義な結論でした。実はこの結果を導き出すには最低でも何回か焼きこまなくては普通出てこない作品なのです。初窯で出してきた事に、「奇跡」と云ったのでしょう。面白い話です。

この様な事は運命を決める重要な瞬間なのです。焼けるか焼けないかで大きく世界が違ってきます。今の私たちには何回も試行錯誤を積む時間はありません。一回で目の前の世界を開いていかなければなりません。キャリヤが生きるかどうか。やってきた事の積み重ねが生きたものとして実現されてくるのか、勝負どころとしては、大変面白いところです。

今日の慢幕紋深向こうはある意味勝負の掛かった、重要な窯になっています。慎重に窯詰めをし、先ほどから焼き始めました。明日午後二時頃には焼き上がる予定です。

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